写真における「ネガ」とは?フィルムからの現像・復元方法も含めて解説!

 

 

「ネガ」という言葉を最近聞かなくなった昨今、その存在をまったく知らない世代も多くなってきたのではないでしょうか。ネガとは「ネガフィルム」というフィルムの略で、昔はプロからアマチュアまで一般的に用いられていました。近年リバイバルブームが起きて、使い捨てカメラにもネガフィルムが使われています。今回は昔に一般的だったネガフィルムとはなんなのか、昔のネガフィルムからの現像・復元の方法についても解説していきしょう。

1.「ネガフィルム」とは?

今ではプロ用でもデジタルカメラが主流となっていて、写真というのはデジタルデータで残るものだという認識もすっかり当たり前になりました。しかし昔は写真を撮るのに、「フィルム」というものが必要でした。フィルムというのは「写真感光板」のことで、セルロイドなどでできた透明なテープ状の物質に、感光剤という特殊な薬剤を塗ったものを指します。

フィルムで撮影をする際は露光といって、シャッターを開けて外部からの光を取り込みます。そして詳しい構造については割愛しますが、フィルムの表面に目の前に映っている風景などを焼きつけるのです。フィルムの構造上、光を多く取り込むと黒くなり、光があまり多くない影の部分はより薄く記録されます。つまり本来みえている絵の色が、反転されて記録されるわけです。これを「陰画」、すなわち「ネガフィルム」と呼びます。

2.ネガフィルムのほかに「ポジフィルム」もある

フィルムは、この「ネガフィルム」のほかにも種類があるのです。たとえば「リバーサルフィルム」といって、みた絵がそのままの色でフィルムに投影されるものもありますが、これを「陽画」すなわち「ポジフィルム」と呼びます。英語のポジティブとネガティブのように、ポジフィルムはネガフィルムの逆というわけです。

こうした構造を知ると、「みたそのまま映るほうが楽じゃないか」と思う方も多いのではないでしょうか。しかし写真の知識の少ない一般の人々の間で多く使われていたのは、ネガフィルムが圧倒的でした。それではなぜ、ネガフィルムのほうが多く使われてきたのでしょうか。それは現像の仕組みに理由があります。

3. 一般的に広く使われていた「ネガフィルム」のメリット

ネガフィルムとポジフィルムでは、現像の工程が少し異なってきます。まずネガフィルムの場合では、現像のあとに「印画紙への焼きつけ」という作業が入るのです。これは簡単に説明するならば、「ネガフィルムに記録された色調が反転された写像を、正常な色調に再度反転させる」作業となります。ネガフィルムではそうした作業が必要なのに対して、ポジフィルムはそのまま現像すればそれで完成です。

ポジフィルムはみたままの色が映り込みますし、作業工程もポジフィルムのほうが少ないといえます。それなのに一般的に広く用いられていたのは、ネガフィルムでした。それはなぜだったのでしょうか。

実はネガフィルムの像(潜像といいます)を「焼きつける」際に、色あいや色の濃度などを補正できるのです。露出のアンダーやオーバーが発生していても、少々のものであれば、この段階である程度補正できるため、写真という形になったときに失敗が少なくて済みます。今でいう「デジタル写真の加工や色補正」にあたる作業の幅が、ネガフィルムのほうが圧倒的に広いわけです。

昔はプロの写真屋さんにネガフィルムをもっていって、現像してもらうのが一般的でした。カメラの使い方に詳しくない一般の人々の写真需要に確実に応えるためには、ネガフィルムのほうが写真技術のない人が撮ってもあとでカバーできるので、一般の人にとっても大助かりです。さらに光を捉え感光できる範囲もネガフィルムのほうが幅広いなど、フィルム一本分の価格が大幅に安いという理由もあります。

反面ポジフィルムではこうした範囲が狭いばかりか、フィルム代も高くつくうえに、現像の際にネガフィルムのような補正が行えません。つまり写真を撮る際に、色味や明るさを完璧に調整しないといけないのです。ポジフィルムは、写真技術が高くないと扱うのが難しいので、かならず失敗ができないプロの写真家向けだったのです。

4. ネガフィルムの現像・復元方法とは?

最後にネガフィルムの現像・復元方法を解説しましょう。撮影によって感光したフィルムを「現像液」につけることで、フィルムの表面にあるハロゲン化銀が還元され、光がより多く当たった部分が黒くなり、「像があらわれる」のです。正確にはこの過程を「現像」といいます。そしてそのあと、現像しただけでは感光していないハロゲン化銀が余計に残ることになるので、特殊な薬品を用いてその余計なハロゲン化銀を溶かして除いてしまうのです。これを「定着」と呼びます。

ネガフィルムの場合は現像のあとに「焼きつけ」という作業が発生し、まず薬品による現像→ 定着によってあらわれた、色調が反転した状態の写像に光をあてます。フィルムの下にある印画紙という写真を映し出す特殊な紙に光を通すことで、反転していた色が更に反転され、みたままの通りの絵が印画紙に浮かび上がります。これが一般にいう「現像」の仕組みです。

ネガフィルムは、一般的な写真(像が投影された印画紙)を生み出すための、物理的な情報源のようなものです。デジタル撮影でいうところの「RAWファイル」のようなもので、フィルムが残っている限りは何度でも写真が複製できます。これを一般には「焼き増し」と呼んでいました。

しかしネガフィルムは、デジタルデータと違って薄い紙のようなものなので、物理的な原因で劣化する危険があります。実際に放置しておくと劣化し、やがてはバラバラに破損してしまうのです。かといって昔撮影した思い出の写真を現像して残しておいても、色褪せてしまったり、破れてしまったり、折れてしまったりなども大いにあり得ます。

いつまでもそのままの形で残しておくには、「デジタルデータに復元」しておくとよいでしょう。その方法としては、「現像した写真をそのままデジタルカメラで撮影する」方法と、「業務用あるいは一般家庭用のフィルムスキャナーを使ってスキャンデータとして残す」方法があります。しかし高齢の方だとスマホやデジタルカメラをもっていない人も多く、機械に詳しくない人も多いことでしょう。

そうした場合にも、たとえネガやデータがない写真でも、色褪せてしまった写真から色味を復元したり、家族旅行写真から抜き出して遺影にしたりすることは可能です。写真にキズが入ってしまい、ぶれてしまっているようなことがあっても、該当箇所を修整できます。こうした場合は、きちんとした設備が整っているプロの写真スタジオにお任せしましょう。

5.まとめ

今回はネガフィルムとはなにか、どういうメリットがあるのかなどについて、一通り解説しました。今では使われることが少なくなってしまったネガフィルムですが、ネガフィルムでしか記録できなかった思い出の写真をもっているという人も、多いことでしょう。し技術の発展によって、ネガのデータ化や物理的な写真の複写・修整も可能になっています。

そうしたときは横浜の写真スタジオ「南風スタジオ」にお任せください。南風スタジオでは、証明写真や各種年中行事、遺影などのさまざまな撮影を請け負っておりますほか、ネガやデータの残っていない写真の複写・修整も対応いたします。思い出の写真を復元したいけれど、ネガがもう残っていない場合など、ぜひともご相談ください。