写真の「ノイズ」とは?解消する対策についてわかりやすく解説!

スマホやデジカメといった機器の発展は目覚ましく、今ではなにも設定をいじらなくても、ある程度きれいな写真はだれでも撮れるといっても過言ではありません。ただし技術がここまで発展しても、プロ・アマの写真家を悩ませているのが、「ノイズ」です。これはとくに暗所での高感度撮影において、写真全体がザラザラしたり、実際にはない粒や線などが余計に入ったりすることを指します。今回はこの余計なノイズを解消する対策について、わかりやすく解説していきましょう。

 

1.写真における「ノイズ」とは?

最新のカメラを使って写真を撮影すると、目の前の風景や人物・静物を正確に、ときには実物以上にきれいに写し取ってくれます。しかしそれは仮初であってリアルではないぶん、写真機や写真というものの構造に絵が左右されることはどうしても起きてくるのです。

そのなかでも代表的なものが、「ノイズ」でしょう。写真はさまざまな理由で、ノイズと呼ばれる実際にはないものがあらわれる現象が起きます。どこか写真全体にザラザラとした砂嵐のような模様が入ってしまったり、不自然な粒粒が画面全体に散らばってしまったりなどがあげられます。また粒粒によって物の輪郭もザラついてあいまいになってしまうなど、こういう現象を写真の世界ではノイズと呼んでいるのです。

ノイズには主に3種類があります。「高感度ノイズ」、「長秒ノイズ」、「画質や色の劣化によるノイズ」です。この記事ではそれぞれの解決方法をご紹介していきます。

2.写真家を悩ませるノイズの中でも「高感度ノイズ」は最も一般的

写真をはじめてまずつまずくのは、この「高感度ノイズ」の発生です。高感度ノイズというのはどういうものかというと、スマホでの暗所撮影の例をあげるのがわかりやすいことでしょう。

たとえば真っ暗な部屋のなかや暗い夜道で、スマホのカメラを起動したとします。そうすると画面全体にザラザラとした赤、もしくは青や緑の粒が砂嵐のように浮かんできたという経験はないでしょうか。写真を撮ると、実際にはないそうしたザラつきがそのままに、写真に記録されてしまいます。これが「高感度ノイズ」です。

高感度ノイズというくらいなので、「感度をあげすぎる」ことによってこのノイズが発生します。感度とは「ISO感度」のことで、簡単にいうと「光を感じられる力の強弱」をあらわします。ある程度マニュアル操作ができるカメラであればどんなカメラでも、このISO感度の調整ができるようになっているのです。この力を強めれば強めただけ、暗い場所でもより多くの光を拾って明るく写せます。

しかしこの力をある一定の範囲を逸脱して強めすぎると、無理に光を取り込もうとする作用によって、実際にはない雑味のある光を散らしてしまうようになってしまいます。これが高感度ノイズです。たとえるなら限界を超えて重いものを持ちあげようとすると、乳酸が溜まって腕や腰が痛くなるでしょう。その痛みがノイズ、といえばわかりやすいでしょうか。

3. 「高感度ノイズ」の解消法

解消方法としてはそのものずばりではありますが、「感度をあげすぎない」ことです。しかし暗い場所ではある程度感度をあげなければ、まともには写ってくれません。それではどうすればいいのかというと、どの程度まで感度をあげればノイズが出るのかを、経験として知っておくことが大切です。

なぜならISO感度は、画像センサーの質に左右されるからです。スマホやコンパクトデジカメでは画像センサーは小さいので、少しでも感度をあげればすぐにノイズも発生してしまいます。画像センサーが大きければ大きいほど、より軽い負担で明るい絵を撮影できるため、ノイズも相対的に発生しづらくなります。

さまざまな設定で試してみて、「ノイズの発生しない範囲」のなかで撮影しましょう。またISO感度をあげなくて済むよう、なるべく明るい環境で撮影するよう意識することも大事です。またはより大きなセンサーを使っている、高性能カメラで撮影するというのも解消法のひとつではあります。

一眼レフであれば、APS-Cよりもフルサイズのセンサーのほうが、ノイズは発生しづらいといえます。しかしAPS-Cのセンサーのものも改良が進み、性能はよくなってきているのです。ただ暗所での撮影を多く行う場合は、フルサイズなどより大きなセンサーを搭載しているカメラを使ったほうがよいでしょう。

また撮影後にPhotoshopやLightroomといった編集ソフトで、「ノイズ低減」処理を行う方法もあります。カメラ本体側の設定で高感度ノイズ低減を行えるカメラもありますので、そうした設定を適用させるのもノイズ解消方法としては有効です。

4. 「長秒ノイズ」「画質や色の劣化によるノイズ」の解消法

「長秒ノイズ」とは長インターバル撮影、たとえば星空撮影など光を長く取り込まないといけない撮影の際に起こります。発生する熱によってセンサーが暴走し、実際にはない光の粒が写真上に散らばってしまうノイズです。このノイズは熱が原因となるので、シャッタースピードを数分単位で設定するような特殊な撮影以外でも、夏など外気が暑い環境下でも発生します。解消法としてはカメラ本体の設定で、「長秒ノイズ低減」をオンにする方法が最も確実です。

「画質や色の劣化によるノイズ」は、周辺が明るい状態で影になっている(逆光写真など)部分の明るさを引きあげたときに画質が荒れて、細かいノイズが発生することがあります。一般にはこうした現象を指して呼ぶのです。このノイズは明暗差が顕著な場合に発生しやすいので、黒つぶれをなるべくなくすことがあげられます。具体的にたとえばレフ板やハーフNDフィルター、HDR機能などを使って、明暗差の調整を行うなどの工夫である程度は解消します。より劣化に耐えうる高画質なRAWで撮影ができる、高性能カメラを使うことも効果的です。

5.まとめ

今回は写真のノイズとはなにか、ノイズ対策にはどのような方法があるのかを簡単に解説しました。とくに室内でのスポーツ撮影など暗い場所で速い動きを捉える必要のある撮影や、星空撮影など数分~数時間単位でシャッターを開き続けるような撮影をメインに行う場合、どうしてもある程度ノイズの問題はつきまといます。プロの写真家はなるべくノイズが発生しにくい条件を整え、設定を工夫するなどして画質を維持しているのです。

横浜の写真スタジオ「南風スタジオ」では、各種撮影や複写といったサービスのほか、古い写真に物理的に発生した傷やノイズも、ある程度修復するサービスも行っています。ノイズは完全に除去することはできませんが、できる限り低減する方法は数多くございます。写真のノイズにお悩みの方は、ぜひ当店にご相談ください。