モノクロの写真の魅力とは?モノクロからカラーへの復元は可能?


現在ではスマホやデジタルカメラといった最新の機器で、気軽に写真が楽しめるようになりました。今ではカラー写真がほぼほぼ前提といっていい世の中ですが、昔は白黒写真が一般的でした。今でも設定によってはモノクロでの撮影が可能で、プロの写真家のなかにはずっと一貫してモノクロでの写真を貫いている人もいます。今回はそういったモノクロ写真にはどういった魅力があるのか、モノクロ写真からカラーに復元できるのかなどを解説していきましょう。

1.「モノクロ写真」とは?

今では写真といえばカラーが当たり前ですし、写真といえば鮮やかな色あいこそが「インスタ映え」として受けのよい世の中になっています。しかし写真が発明された当初から戦前戦後含め、カラー写真が登場するまでは写真というのは白黒写真、すなわちモノクロしかありませんでした。

モノクロ写真というのは白黒写真であって、文字通り白と黒の階調のみが写像となるような写真のことです。モノクロ写真は白と黒以外の色は存在せず、相対的にみて情報量が少ない写真でもあります。今ではフルカラーの写真が当たり前になり、モノクロ写真は少なくなりました。

しかし今でもモノクロフィルムは残っていますし、デジタル的なフィルター処理によって色彩情報を含まず明度情報のみを残すことで、あえてモノクロで撮影することも可能です。そのためフィルム時代からのプロの写真家のなかには、今でもモノクロにこだわって撮影している人も少なからずいます。

2.モノクロ写真の魅力①:物の色や形や質感がはっきりと描写できる

それでは今でも一定の支持層がいるモノクロ写真には、どういった魅力があるのかをみていきましょう。

まずは、「物の色(明るさ)や形(線や陰影など)や質感が、はっきりと描写できる」ことがあげられます。モノクロ写真は色彩を表現できず、陰影だけつまり明度だけしか写像に残らない関係上、余計な情報は一切記録されません。一見するとリアリティに欠ける写真表現という言い方もできます。しかしだからこそ、白・黒・グレーの絶妙な明度の違いによって、物の輪郭や質感をはっきりと際立たせられるのです。

とくに質感というのは写真のリアリティを決定づけるにあたり重要な情報で、写真において質感は「テクスチャ」ともいい。仕上がりにおいて非常に重要な意味をもってきます。余計な色がないことは、そのぶんだけごまかしがきかないことでもあるのです。限られた色の明度のみで質感を表現できることこそが、モノクロ写真をうまく撮るためにまずマスターしないといけないミッションといえるでしょう。

3. モノクロ写真の魅力②:光の入れ方で質が格段に変わり、こだわるほど魅力的な写真になる

今でも多くのプロ写真家がモノクロ写真にこだわる理由は、「モノクロ写真は光の入れ方が写真の質を左右する」から、といっても過言ではないでしょう。

通常のフルカラー写真においては、多少光の具合を気にせずとも、一定程度写真に情報が多く含まれているぶん、それなりの写真には仕上がります。多少のっぺりしている印象であっても、色彩情報が多くカラフルであれば、見栄えはそれなりによくなるからです。

しかしモノクロ写真にはその色彩情報が一切記録されず、白・黒・グレーの3つのモノトーン色しか含まれていないので、光の入れ方が悪いとすぐに写真の質が格段に落ちてしまうのです。明暗の絶妙なコントラスト、つまり明度のみで写真を表現しなければならないのがモノクロ写真の世界のため、明度すなわち「光」が写真の質を決めます。

このように写真の根幹を担うものが、さまざまな色の階調で表現ができるカラー写真とはまったく違うのがモノクロ写真の世界です。光の入れ方に徹底的にこだわることで、カラー写真よりも見栄えのよい写真が生まれます。あえてコントラストの強い写真にしたり、シルエットにこだわってみたり、情報が少ないながらもさまざまな遊び方ができるのもモノクロ写真の魅力です。

これは情報量が制限されているからこそ魅力を感じる引き算の文化、いわゆるミニマル的な表現という側面があることでもあります。フィルムの種類によっては可視光のすべてを記録して、白黒ながらもみたままの細やかな色の違いを記録できるものもあります。しかし種類が違えば限られた色あいしか記録されないものもあり、フィルム選びも奥が深いといえるでしょう。

4. モノクロ写真をカラーにすることってできるの?

最後に、「モノクロ写真をカラーにすることはできるか」を解説しましょう。

これは人類の写真の歴史が、「モノクロ→ 疑似カラー→ カラー」というように発展してきたことからもわかる通り、原理的には可能です。昔は写真一枚一枚を、手作業で着色することも行われていたほどです。やがて技術の向上とともに、コンピュータを利用したカラー化処理という技術も生まれ、より正確により自由にカラー化を行えるようになっていきました。

カラーが当たり前になった今では、一見モノクロで撮ってしまうとカラーにすることなど不可能なように思うかもしれません。しかしもともとは白黒写真を、疑似的にでもなんとかカラーにしようと努力し続けていました。つまりそうした技術は一定の需要があり、写真技術の向上とともに発展していったのです。

今では人工知能によるディープラーニングを使うことによって、全自動でモノクロ写真をフルカラーにしてくれるウェブサービスが登場しているほどです。しかし技術は向上しているとはいっても、全自動で行ってしまうことで一方通行な感じは否めません。プロの写真屋さんに任せれば、当時の色はどんな感じだったかをある程度きいてくれるので、より当時の思い出に近いカラー写真にしてくれることでしょう。

5.まとめ

今回はモノクロ写真の魅力を一通り解説し、モノクロ写真のカラー化は可能なのかといったことについても説明しました。今でも一定の人気と支持を保ち続けているモノクロ写真は、今では「あえてモノクロ」という側面が強くなってきてはいるものの、白黒だからこそ突き詰められる表現があります。それがアマプロを問わず、写真家を魅了してやまないのでしょう。

横浜の写真スタジオ「南風スタジオ」では、冠婚葬祭や年中行事、イベントやパーティーなどさまざまな撮影をモノクロで行うこともでき、モノクロ写真のカラー化も受けつけております。複写・修整サービスの一環として、撮影から現像までの幅広い技術でもって、ネガやデータが存在しないような古い写真からでも再現性の高いカラー写真に復元できます。

モノクロ写真を撮影したい、あるいはモノクロ写真をカラーにしたいときは、ぜひとも弊社までお気軽にご相談ください。