物撮り写真とは?うまく撮るためのポイントや注意点について解説!

 近年のカメラの発展は目覚ましく、今では初心者向けのモデルでも、フルオートでシャッターボタンを押すだけで、プロ顔負けの写真が撮れるほどの性能をもっています。「物撮り」の世界では、正直、プロが撮ればたとえスマホであっても、そのままで商用に値する写真を撮れるのです。要するに物撮りのポイントは、カメラ以外の部分にある、といってもよいでしょう。今回は物撮りのポイントや注意点を、わかりやすく解説していきます。

 

 

1.物撮りはカメラには左右されない!コツはカメラ以外の部分にあり

まず大前提として、「物撮りをうまく撮ろうというポイントにおいて、カメラの値段はほとんど関係がない」ことを知っておきましょう。うまく撮れない原因は、ほとんどの場合カメラが悪いからではなくそれ以外の部分が悪いと、もはや言い切ってしまっても差し支えないほどです。

現在とくに一眼レフにおいては、入門用のカメラであっても一昔前のプロ用高級一眼レフカメラ並みの性能をもったモデルが目白押しです。しかも価格も数万円台からと、一昔前のプロユースの10分の1くらいの値段で、プロと遜色ない性能のカメラが買える時代になりました。

それ以上にスマートフォンのカメラ機能の性能向上は、目覚ましいものがあります。日本でもポピュラーな10万円前後の上位モデルのスマートフォンでは、ある意味一眼レフを超えるような性能のものまであります。物撮りといえば一眼レフというイメージが一昔前までは主流でしたが、今ではきちんとした環境さえ整えば、「物撮りはスマホで十分」といってもよいでしょう。

つまり物撮りにおいてうまく撮るうえでの最低限の機能は、お手持ちのスマホでも十分備えているのです。物撮りのよし悪しを左右するのは、たいていはカメラ以外の「撮り方」の部分です。

2.物撮りの要は「ライティング」にあり!まずはライティングをマスターしよう

物撮りというのは、「静止した状態で置かれた商品を撮影すること」というのはご存じでしょうか。まず知っておかねばならないのは、普段日常的に撮影している写真、つまり風景写真やスナップ写真と、物撮りというものは「撮り方がまったく違うものである」ことです。

風景やスナップだと、その場にある風景や、その場に立っている人をそのまま撮ることが多いでしょう。とくに仕事でなくプライベートで撮るときは、気にするのは表情や構図くらいのものではないでしょうか。それと同じように、商品撮影はスタジオや部屋のテーブルにそのまま置いて撮っていると、物撮りはあまりうまくいきません。

物撮りにおいて大切なのは、「ライトを設置して光をあてること」です。多くの部屋の蛍光灯やLED灯は、ただ部屋を均一に明るくするだけのもので、商品を美しくみせる目的では設置されていません。それでは商品を置いて撮ったとしても、どうも平坦で立体感のない、「つまらない写真」になってしまいます。

物撮りを専門に行うプロは、たいてい自前の撮影用ライトをもっています。商品撮影であれば多くても3~4灯程度です。なぜなら光は少なくとも2方向からあてませんと、商品に立体感が生まれないからです。影をあえて作る場合もあれば、複数の照明をあてることで影を消したほうがいい場合もあり、これは実際の商品を置いてみてじっくり探っていきます。

商品に撮影用ライトをあてて立体感を出すことを、「ライティング」といいます。場合によっては太陽光など、自然光を活かすことも多くあるのです。商品によって光のあて方や位置を少しずつ変えながら、最も商品が映える光を作っていきます。商品撮影の要はこのライティングにこそあるといってよいでしょう。

3. 商品の「セッティング」と、「背景」にもこだわろう!

それでは光さえうまくあてれば物撮りはうまくいくのかといえば、そうではありません。よい物撮りというのは、そのほかにもきめ細やかな配慮が数多く詰まっています。そのなかでも代表的なのが、商品の「セッティング」と「背景」です。

具体的な流れとして、商品を撮影する際にはまず背景を決めるのが一般的です。背景が決まらなければ、商品をどこに置けばいいのかわからないことでしょう。商品撮影において多い背景は、「白バック」あるいは「黒バック」といいます。真っ白、あるいは真っ黒の背景紙を後ろに敷いて、そのうえに商品を置くことをよくやるのです。背景をモノトーンで統一したほうが、一般的には商品が主役として目立ってくれるからです。

しかし白か黒であればかならずよいかといえば、それもまた不正確といえます。それは「商品のなにをみせたいのか」によって変わります。商品そのものの造形や品質がうかがえるようにしたいのであれば、白や黒が一番でしょう。しかし実際に商品が用いられる際の雰囲気を重視したいのであれば、それにあわせた背景を用意する必要があるのです。

たとえば窓辺に飾る花瓶の撮影であれば、風景がみえる窓の前に花瓶を置くだけでも、まったくイメージが異なってきます。野菜を切る包丁であれば、まな板といくつかの野菜を背景に添えてもよいでしょう。このように背景を工夫することも、よりよい商品撮影のためには必要なポイントです。

また商品の置き方もただ置くのではなく、使用している様子がイメージできるような置き方(セッティング)にこだわるとよいでしょう。もしくはおしゃれさを演出するような、大仰な置き方(たとえば普段重ねないマグカップをあえて上に積み重ねるなど)を、演出してみてもよいかもしれません。

4. 「絞り」や「アングル」にも気を配ろう!

物撮りの際は、「ピント」というのが非常に重要になってきます。物撮りの際のピントは、たいていの場合狭い範囲にあわせるのではなく、広範囲に平等にピントがあうように設定します。これをパンフォーカスといって、商品の前後や左右でピントの差が生じないようにして、商品が隅々まではっきりとみえるようにするためのピントのあわせ方です。

実はピントというのは、「絞り(F値)」と大きく関係しています。絞りが開放に近い(F値が低い)と、そのぶん写真は明るく撮れますが、非常に狭い範囲にしかピントがあわず、残りはモザイクをかけたようにぼやけてしまいます。複数のものがあるなかの、ある一部分だけに注目させたいといった明確な意図がない限り、絞りは開放に設定しないほうがよいでしょう。

商品撮影の場合には、さきほど説明した通りパンフォーカスが理想です。そこまで広く平等にピントをあわせようと思うと、絞りは狭く(F値を大きく)するほうがよいでしょう。一般的な商品撮影の場合ではF8~F11あたりに設定すると、ちょうどよい具合にピントがあってくれます。

また商品の高さや広さなどの形状によって、アングル(カメラの角度)にも気を配ることです。お皿のような平べったいものだと、たとえば商品の真上にカメラを設置して真上から狙って撮影するのがよいでしょう。コップや瓶のように深さがあるものだと、斜め下から狙って深さをアピールするのがおすすめです。お皿を真横から狙ってもなにがなんだかわからず、コップを真上から狙ってもよく伝わらないことからもわかることでしょう。カメラで狙うアングルにもこだわるのが、物撮りでは基本的なポイントです。

5.まとめ

今回は物撮りをうまく撮るためのポイントと注意点について、一通り解説しました。これが正解というような、魔法のような撮影テクニックは存在しません。ライティングやセッティング・アングルに至るまで、商品一つひとつに最適な「絵」があり、それぞれ違うのです。つまりはその違いを見極め、それに沿った撮り方ができれば、物撮りはスマホであっても十分なクオリティで撮影できます。とはいえそうしたさまざまなパターンに対応できるだけの設備や環境は、個人ではなかなかそろえるのは難しいことです。そのときにはプロの力を借りることをおすすめします。

横浜の写真スタジオ「南風スタジオ」では、単にきれいな写真だけでなく、個性が光るような写真撮影を得意としています。ぜひともお気軽にご相談ください。